バタバタの毎日が続き、
すっかりご無沙汰してしまいました。。もう11月!
なんとか今年中に全部紹介したいです◎
ということで、作品紹介を続けます。
みなさんは「青焼き」というものをご存じでしょうか?
建築の図面や書類の複写に昔よく使われていた、ジアゾ式複写技法のことです。かつては複写の主流だったものなので、懐かしいと思われる方も多いかと思いますが現在はモノクロやカラーのコピーが普及し、需要は下火となっているそうです。
この『青焼き』にこぎん刺しに通じる発見が何点かありました。
◎青紺の色。
◎一枚、一枚、人の手と経験による技で複写されている。
◎大量生産ではなく、1枚でもコストが安い。
◎より便利なものにシェアを奪われ、衰退の一途。。。
そして、調べていくと、この『青焼き』という技法は大判サイズが得意であることがわかりました。
これは、ポスターにするしかない!!
そう思って、作ったのが今回の『原寸大こぎんポスター』です。
古作こぎん刺し着物をデジタルデータで再現しました。
テーマは、
『 青焼き × kogin 』
着物部分がほぼ原寸大で、模様部分の拡大を上下に並べた
縦長のポスターを制作しました。
サイズ:880mm×2300mm
身長より高い、見上げる展示になりました。
『東こぎん』
『西こぎん』
『三縞こぎん』
こぎん刺しの緻密さを間近で見て、びっくりされている方も多かったです。
こぎん刺しの着物が作られなくなった現在、美しい模様を語り継いでいくためにデジタルデータとして古作こぎん刺し着物の模様を再現するプロジェクトにしたいと思います。模様を分解、再構築することで僕自身の、研究にもなるので一石二鳥ってやつです!
なかなか
現物を見られる機会も少ないですし、それであれば手軽に身近に置いておけるポスターとして模様を収集するというのもいいかなと。
ここからは、妄想です。
現在開催中の
酒井抱一と江戸琳派の全貌で夏秋草図屏風を見たときに感じたのですが右側の流水の色は青焼きのような青紺、、ということは
光琳の代表作の紺色説もつながっていたりして?ちなみに、光琳の
紅白梅図屏風は『津軽家』に伝来していたそうな。
酒井抱一《夏秋草図屏風》
昔から、紺色には上品さが宿っているのでしょうか。
こぎん刺しの深い濃紺は藍染めですが、
藍色や紺色に日本人の美意識が潜んでいるのでは…
などと思いをめぐらす晩秋です。